第2回目:あなたは楽譜の中で何を一番大切に考えますか? 第2回目は「あなたは楽譜の中で何を一番大切に考えますか?」のテーマで 今回、グリーグ・ペールギュント組曲の楽譜校訂をさせて頂いた際にふと思った事・・・。 突然ですが、皆さんにとって(特にピアノを弾いている方、教えていらっしゃる先生)楽譜の中で一番大事な事って何ですか?・・・って、うわ〜・・・いきなりひいてしまう様な深〜い質問になってますか?こりゃ? いえいえ、どうぞそんなに深く考えないで下さいねぇ〜〜 (((^^;) 指使い?強弱?ニュアンス?楽譜から作曲家がどんな事を思いながら書いたかを探る? 校訂させて頂いてこんな事言っちゃ何ですが、私は指使い、ペダルに関してはあくまでも参考程度。指は皆それぞれ違う大きさや形だし、ペダルも手の大きさで致し方なく踏む所もある。自由で良いぢゃないのぉ〜。とお気楽に思っていました。 時はさかのぼり、反抗期絶好調の中学時代、ピアノやフォルテの指示記号にも納得がいかず、「何でこう弾かなきゃいけないんですか!自由に楽しく弾いてどこが悪いんですか!」と、実はこのセリフ、のだめカンタービレの、のだめちゃんが同じセリフを言っていて、驚いてしまったのですが(^^;)そんな質問を何度も先生にぶつけていました。 この疑問は反抗期を終えた20歳過ぎまで続き、ウィーン留学中の恩師、カルメン・グラーフ先生に問うた所、先生から一言:「その指示記号は、私が書いたんじゃないもの。私に言われたって困るわよ。文句があるなら作曲家に言いなさい。まぁショパンやベートーヴェンに直接言うのはもう無理でしょうけどね」と一笑され、ハッとしました。 カルメン先生のこの一言により、私の中では指示記号は作曲家の意思。きちんと守った上で、作曲家の意図を汲み取り自分なりの演奏をする!という、いわばちょっとしたセオリーの様なものが出来、楽譜もそのスタンスで読んでいました。 しかし今、短大で学生さんを教えていると、様々な子がいます。 私は、普段自分のやり方でしか楽譜を見ておらず、楽譜に忠実に、バイブルの様に守って弾いている子には、ちょっといい加減かも?と思える様に指導していました。 短大の学生さんに限って言えば、小学6年生位までピアノを習っていたけれど、一旦やめて、又幼稚園免許の為にしぶしぶ(?)ピアノを始めるという人がほとんどですが、少なからずこの楽譜主義、楽譜バイブル主義、といえる方が半分以上占めている、と言ってもいいような気がします。(楽譜に忠実に習ったけど、指使い無視だもんね!音間違え無視だもんね!という人が後の半分を占めている・・・とも言えますが・・・)
グリーグの自筆譜は、グリーグ自身ドイツで研鑽を積んだ素晴らしいコンサートピアニストであった為、ピアノを弾く者として「わかるわかる!」と言った指示の書き方をしています。ただ、一回目と二回目の同じ所でフレージングが違っていたり、アクセントも書いてあったり書いていなかったり。 でも、いざこれがそのまま楽譜になると・・・とてもおかしな事になるんですね・・・。 今回全音さんのご担当が(渡辺裕子さん!お世話になりました)大変真摯に、熱心にきちんとそういう所をご指示下さり、普段何気なく楽譜を見ているものにとっては、新しい発見がたくさんありました。 楽譜にもこだわりすぎると、こちらの意図が知らず知らず入ってしまう。 編集のお仕事って大変なんだなぁ・・・としみじみ実感すると共に、先生達は一体楽譜の何を重視なさって普段ピアノを弾いているんだろう?と、ものすご〜く素朴な疑問が頭をよぎりました。 文章が至らないばかりに取り留めがなくなってしまいそうなのでそろそろ終わりにします。(^^;)(←逃げた!) |
第3回へ続く |
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