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第1回目:おんぼろピアノ

青短の私のレッスン室のピアノは、これでもか!という位・・・
ハッキリ言ってオンボロです。
どんなに頑張っても音が出ないし、つい「ん?ちょっともぅ一回弾いてみてくれる?」と言ってしまう程音が狂ってるし、ピアノの上(ちなみにアップライトです)に何も置いてないのに「ビョ〜ン ビョ〜ン」という変な金属音が聞こえるし(暗くなってから一人残って練習している時にこの音が鳴ると・・・恐いです)、一度はソフトペダルが上がらなくなり、どんなに強く弾いても弱い音しか出ず皆で爆笑しまった事もあります。

これは、多くの学生さんが必死で練習した賜物でもあるんですよね。
先生としては、この事はとっても嬉しい事なのですが、レッスンを受ける学生にとってはたまったものではないでしょう。
「ここのピアノ弾きづらい〜」「違う教室で弾いた時はうまく出来たのにぃ〜」
「ピアノが悪いんじゃないですかぁ?!」と、当然ブーブー文句を言う学生も後を絶ちません。

学生さんだけでなく、普段私達は平気で「ここのピアノ弾きづらいよね」「あそこのホール最悪!」等と言いますよね。特に本番前や発表会前等はなぜかやたら気になる傾向が。
オンボロピアノに文句を言う学生さんを責める気もないし、むしろ気持ちは痛いほど良くわかります。

そんな時、私は留学時代に行ったコンクールの事を思い浮かべます。

大きなコンクールでは予選だけで5〜6日、本選まで2週間近く(あるいは以上)かかるものがほとんど。コンクール前になると「あなたは予選○日目です」という手紙が来ます。

予選最終日だとシメタもの!家でたっぷり練習出来るんですもの。でも予選1日目、2日目になると・・・。コンクール会場では日に日に人が増えていき、練習時間は減っていく。コンクール側が用意した数台のピアノを、朝並んで1時間単位で練習室をキープ。
しかもその貴重な時間を守らない奴もいる・・・練習不足の不安からイライラカリカリ。

そして!ピアノ!ぺトルーシュカで派手に指馴らしをする人もいれば、コンツェルトの練習をする人もいる(予選だっつーの!)一次予選につきものの、ショパンやラフマやリストのエチュードがバシバシ響き渡る中、ピアノにも日々異変が・・・。

あるピアノは高音の1オクターブ丸々弦が切れて全く鳴らない、隣のピアノはペダルが効かない上鍵盤を叩いても戻ってこない、向こうのピアノは真ん中ドからソまで、何と鍵盤が無い!(ブラックホール状態)

もはや、アイツは時間を守らないだの、アイツ態度がデカクで気に入らないなんて、悠長な事を言っている場合ではなく・・・。練習で次の人に部屋を明け渡す時、言葉が通じなくても笑ってしまう程な状態になっていくのです。私も練習に行ったら、あるロシア人から「僕が来た時ここからここまで、弦が切れてたから、次に僕がここまで切っておいたよ。君の検討を祈る」なんて言われた事があり、さすがに2人で爆笑してしまいました。

ね?弦が一つも切れてなくて、鍵盤が全部揃ってるピアノ!!それだけで幸せを感じるでしょう!白と黒が全て揃って音が出るなんて、素晴らしい!・・・と思い出し、学生にもこの話をします。

さすがに学生も笑いながらピアノを弾き始めると・・・まぁ何て良い音が出るんでしょう!
気持ちの持ち方一つで、演奏はこうも変わるんだなぁ・・・と再確認する今日この頃です。

最後に、オンボロピアノっていう歌があるのご存知ですか?
♪オンボロボロ ボンボン オンボ〜ロ〜ピアノ〜(チャカチャカチャカチャン)♪
っていう可愛い歌なんですよ!!

 
第2回へ続く
 
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